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役立たずの読者。



メールマーケティングをテキスト形式で実践する場合は、どのぐらい読まれたのかをダイレクトに計測することはできない。
そこで配信するメールの文中で何かしらの「しかけ」を組み込み、その読者の反応から相対的に効果を推し量ることになる。そのしかけはプレゼント応募やアンケート回答などで、メールコンテンツ文中に URL を埋め込み、どの程度クリックされたかを測定する。


しかし「読者のクオリティ」が低ければ、結果を期待できないどころか、計測不能という事態すらあり得ることも知っておきたい。


ある食品メーカーが自分たちでメールマーケティングを組み立てたときのこと。
まず共用オプトインメールを利用して読者を集め、一方で配信するテキスト形式コンテンツを制作した。セオリーどおりの「しかけ」も組み込んだ。
そして配信だ。


結果はどうだったか。
じつは、担当者の期待に反してほとんど反応がなかったそうだ。
コンマ何パーセント。ほぼ計測不能の事態である。


なぜそのような絶望的な結果になったのか。


まず配信したというメールを検証してみた。
コンテンツのライティング技法に問題はない。構成もしっかりしている。「しかけ」も一定の反応が見込めるような組み立てになっている。


続いてメッセージの受け手である「読者」を検証してみた。
読者とのリレーション(関係)の深度、読者のクオリティ、などなど。


誤解のないように説明しておくと、ここで言う「読者のクオリティ」とは「個人のクオリティ」のことではない。正確に表現するとしたら、「読者を獲得するために企業が講じた手法のクオリティ、および読者を維持するために講じた技法のクオリティ」ということになる。これだと長いので、便宜的に「読者のクオリティ」とする。


案の定というか、今回の場合は読者を獲得するための手法に原因のヒントがあった。
魅力的な豪華景品を用意して最初に読者登録のキャンペーンを大々的におこなっていたのだが、その豪華景品というのが、人気の高い電子機器製品。食品メーカーでありながら、その分野には何の関連もない。
つまり相当数は、その「人気の景品」にオプトインしたに過ぎず、そのスポンサーである企業や同社の製品・サービスにオプトインしたわけではないことは想像に難くない。


ここで理解しておきたいのは、個人、つまり消費者のクオリティは、企業が思っている以上にはるかに高く、そして消費者は思っている以上に「場馴れ」しているということだ。


メールマーケティングは、3秒の間にいかにインパクトを与えるかが最重要、という向きもあるが、それは技法の問題でしかないし、そのような考え方自体、旧来のマスマーケティングの延長上でしかない。


メールマーケティングは読者の獲得の瞬間からリレーションが始まる。そこで読者数を求めるばかりに闇雲な手法を講じると、マーケティング上でまったく意味のない「役立たずの読者」ばかりになる。いや、読者が役立たずなのではない。読者を獲得するための手法や、読者を維持するための技法が役立たずなのだ。


読者は企業の思惑など先刻承知である。
それを考えると、クオリティの高い読者群があってこそ、レベルの高いリレーションを構築できるのではないだろうか。(執筆:鶴本浩司 メールマーケティング専門コンサルタント) 。



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