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実践編|アンケートの考え方

新しい街に引っ越したとき、いつも苦労するのが理容店さがしです。最近の理容店はおしゃべりなところが多く、初顔だと利用者カルテを書かされ、髪を切りながら「今日はお休みですか」「どのようなお仕事ですか」「勤務先はどこですか」「普段、週末はなにをしていますか」といった質問が待ち受けています。お店としてはリレーションを構築して顧客にするという魂胆なのでしょうが、あまりにも性急すぎます。そんな理容店は二度と足を運ぶことはありません。

事情聴取型アンケート

さてインターネットです。さまざまなチャネルを通じて、待ちに待ったユーザーが専用オプトイン画面にたどり着いたとしましょう。そこで登録するわけですが、微に入り細を穿つアンケート群をみて、逃げ出した経験の1度や2度はあるのではないでしょうか。このようなアンケートを、「事情聴取型オプトイン」と命名します。


いままで私が体験した中でもっともひどかった事情聴取型のオプトインは10ページにわたり、全部回答するのに時間にして約30分。そのマーケティング担当者は「ユーザーはよく答えてくれる。おかげでユーザーの動向がわかった」と満足げ。おめでとうと言いたいところですが、めちゃくちゃ偏った属性になっていることに気づいていません。そこには確かに高級なインセンティブが用意されていたものの、地上3階建ての高さがあるようなハードルを超えてオプトインしてくる理由はたった2つしかありません。そのブランドと心中してもいいと思うぐらい好きである(逆を言えばもう既に完璧なリレーションが構築されている)、もしくは懸賞応募に命をかけている(いわゆる懸賞オタクで、その中でも筋金入り系)、のいずれかです。


この例は極端にしても、アンケートの設問数が増えれば増えるほど、オプトイン数はそれに反比例して減少していきます。それでせっかく見込客を囲い込みする機会を、事情聴取によって逃していると思える例は枚挙にいとまがありません。


アンケートとリレーション(関係)構築

リレーションというのは、時間をかけて築いていくものです。初対面の人に、年齢や年収、趣味などを根掘り葉掘り聞いたりしたら、張り倒されても文句は言えません。そのようなことは時間をかけてリレーションが構築されていく過程で少しずつ知っていくものです(なかでも年収などはセンシティブなテーマなので、リレーションが構築されてもあまり話されることはありません)。ところがインターネットでは平気で初対面の人に質問しているのです。


やたら何もかも知りたがるのがマーケティング担当者の性癖ですが、しかし一方では、そのデータをきちんと咀嚼し、次のステップに反映させている例が少ないのも事実。もしすでにEメールマーケティングを実践しているのであれば、そのときに設定した設問をどれだけ、改善に使っているか見直してください。必ず使っていないデータがあるはずです。その設問をしていなかっただけで、何パーセントか何十パーセントかわかりませんが、確実にオプトイン数は増えていたはずです。


そのあたりを勘案すると、最低でも次のポイントを考えたほうがいいでしょう。


  • 氏名 ... (なぜ必要か。ハンドルネーム=インターネット上のペンネームではどうか)

  • 所在 ... (なぜ必要か。都道府県、もしくは「関東」などの地域区区分ではどうか)

  • 年齢 ... (なぜ必要か。30~34歳という世代区切りではどうか)

おそらくマーケティング担当者が譲れないと言い張るのはこのあたりでしょうか。それでもカッコ内で述べたような代替案を検討すべきです。少なくともカッコの中のほうがオプトインの数が増えるのはまちがいありません。


あとは企業の判断ということになりますが、初回は多くてもこれに2、3の設問に留めておくべきです。しかもできれば個人の属性に関する質問ではなく、客観的な質問のほうが負担は軽減されます。例えば、「どのようにしてこのサイトを知ったか」とか、「当社の製品××のテレビコマーシャルを見たことはあるか」といったものです。あまりセールスを予感させるような質問だとやはり逃げ出してしまいますので、この段階では避けるべきです。あとはリレーションが形成されていく過程で、段階的に属性や嗜好を掌握していくほうが、インターネット利用者心理的な過負荷がかからずに済みます。


大切なことは、消費者がオプトインしやすい雰囲気を作ることです。

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