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基礎編|「共用オプトイン」と 「専用オプトイン」

ひとくちにオプトインといっても、実際にはその取得方法で二系統に分類することができます。ひとつは直接、自社ブランドや商品に対してオプトインしてもらう手法、もうひとつはおもに広告Eメール媒体そのものに対してオプトインしてもらう手法です。

それぞれを「専用オプトイン」、「共用オプトイン」と名付けて詳しくみていきましょう。なお、筆者が提唱する2分割の用語定義も、オプトアウトの場合と同様に、米internet.com社のコラム記事で取り上げられました。

専用オプトイン

まず「専用オプトイン」は、企業ブランドやその商品に対してのオプトインで、純度100パーセントのリレーション状態にあります。そのなかでオプトインされた定義の範囲であれば、企業はユーザーとコミュニケートすることができます。100パーセントのブランドコントロールをもつわけですから、もっとも理想的ですが、一方では宣伝をおこなわないと登録者数で伸び悩むことになります。ブランド力が低ければ、さらにそれを補強するようなギミックなり露出が必要となってきます。独占的な自社リストであるため、アメリカでは『ハウスリスト』と呼ばれています。

ところでユーザーの同意を求めるオプトインの際は、何に対してのオプトインか、その範囲を提示することが大切です。例えば、音楽CDなのであれば、「ミュージックシーンに関する最新情報を希望しますか」といった具合です。ただ「最新情報を希望しますか」とだけしておいてもいいのですが、もしかしたら化粧品やクルマ、不動産などの情報も届くのではないかと、ユーザーを不安にしてしまう恐れがあります。また、何に対してのオプトインなのかを明確に提示しておくことで、ユーザーに自らの意思を再確認させることもできます。じっさい、ある英会話教育系の会社は「最新情報を配信します」とだけしてオプトインさせ、英会話とはまったく関係のない金融商品の情報を配信している例もありました。このような例がある限り、ユーザーが疑心暗鬼になるのも当然です。

一方、オプトインの範囲の拡張性を想定しておくことも必要です。例えば先の音楽CDの場合、将来、音楽プロモーターとタイアップしてそのアーチストのコンサート情報を伝達する可能性もあるわけです。しかし「CDの最新情報を希望しますか」といった狭い範囲のオプトインだと、コンサート情報は許諾された以外の情報ということになります。そのため改めてオプトインを取り直さなければなりません。その意味では、きちんとそのビジネスの発展性を想定しつつ、オプトインの範囲を的確に設定することが必要です。

また、どの程度の頻度で届くかといった情報をオプトインの段階で提示しておくことも、登録しようとしているユーザーの見えない不安を緩和しやすくなります。オプトインしてみたものの、じつは毎日配信で読者は辟易し、やがてマインドの中でスパム化していく、といった例もあります。やはり同じ理由で、事前に提示しておくほうがスパム化のリスク軽減を図れます。

専用オプトイン

一方の「共用オプトイン」は、特定の企業や商品ではなく、特定のEメール媒体に対してのオプトインです。もっとも多いのが、巷で「オプトインメール」と呼ばれているものがこれに相当します。前述のとおり、「オプトイン」は本人がEメール配信に同意する手順を指し、「共用オプトイン」だけではなく「専用オプトイン」も含むのですが、なぜか日本では「オプトイン」は「オプトインメール」を意味すると誤解されている面もあります。混乱を避けるために、本書では「オプトインメール」のことを「共用オプトインメール」と表記していきます。

さてその共用オプトインメールの仕組みは、インターネット利用者が、共用オプトインメール会社のEメール会員になり、あらかじめ興味のあるジャンルなどを登録しておくと、その属性や嗜好に合わせたコンテンツの広告メールが届くというものです。そして企業は、その共用オプトイン会員の中からターゲットとするセグメントを抽出し、媒体のスペースを購入して宣伝するということになります。例えば25歳から34歳の女性で、クッキングに興味のある層、といった具合です。ここで専用オプトインと異なるのは、専用オプトインは自社の独占的なオプトインであるのに対し、共用オプトインはそのアドレスを他企業と共用する点です。

共用オプトインを専門としたマーケティング会社も多く、中には100万人を超える会員を有する会社もあります。
そのようなマーケティング会社の場合はすでに興味のジャンルや嗜好、属性のわかる会員が存在しているわけですから、アプローチの一工程、つまりマス媒体を使ってのアドレスの初期獲得という工程を割愛することができます。その代わり、共用オプトイン会員がもつリレーションは、広告を掲載する企業ではなく、共用オプトインメールそのものであることを理解しておかなければなりません。つまり、その媒体を買うのは不特定の企業であり、受け取る側も興味ジャンルや属性だけで振り分けられた不特定多数であるという関係です。

共用オプトインのほとんどは、高額の商品や現金といったインセンティブを付与して登録を喚起するのが特徴です。なかには「1000万円プレゼント」と打ち出して、登録を促す例もあります。

属性や興味のあるジャンルなど、選別の作業のためのデータがここで収集され、それをもとに企業が特定の抽出条件でメディアバイ(媒体買付)するわけですから、登録時の設問項目は微に入り細を穿ったものが多く見られます。氏名・住所やメールアドレスはもちろん、誕生日から好きな食べ物、興味のあるスポーツなど多岐にわたります。

その媒体に対するオプトインの動機はインセンティブがほとんどなので、専用オプトインに比べてリレーションの密度が低いことはゆがめません。属性や嗜好を絞り込んだセグメントは確かにヒット率は高まりますが、あくまでも確度の問題です。共用オプトインを初期コンタクトとして利用した場合、その先でどのようにして自社の商品やブランドとのリレーションを構築するかがカギとなります。一般的なのはそこから自社ウェブサイトに誘導し、そこで今度は専用オプトインを促す、という手法です。

ところで専用オプトインは独占的なブランドコントロールをもつと説明しました。しかしビジネスが発展していき、それが共用オプトインに変化する例もあります。例えば、鉄道会社が自社グループのテーマパークや動物園などを紹介するというオプトインを展開していたとします。これはオプトインの段階で定義しておけば専用オプトインに留まりますが、不特定多数の会社、例えばファミリーレストランや中古車販売といった、企業グループ以外の会社がそのメール媒体上で広告をおこなうとすれば、共用オプトインに変化していくことになります。そのぶん、100パーセントのブランドコントロールはなくなりますが、今度は広告収入という新しい軸ができるわけです。

なお、ここでいう専用オプトインを「ブランド・オプトイン」、共用オプトインを「リスト・オプトイン」とする呼び方もあります。

ただし留意したいのは、「リスト・オプトイン」の中でも、その媒体自体が「ブランド」化したものも出現してきたことです。そうなると、前者の「ブランド」と区別しにくくなり、また、マーケティングで言う「ブランド」の定義と乖離する可能性が生まれてきます。

いずれにしても、もしかしたら近い将来、定義をさらに細分化する必要がありそうです。

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